2013/08/22

ボルト抜釘


 足のボルトを抜く手術をしてきました。

今回は下半身の局所麻酔という事で意識がある中の手術。
初めての事なのでめちゃくちゃ期待してました。

前日から飲み食い不可で朝を迎える。
のど渇き過ぎて既に起きたときには枯渇寸前。
なのでお茶を飲んで三十秒口に含ませ、潤いを与えた後吐き出すという行為で何とかごまかす。

朝九時になるといよいよ手術タイム。
点滴を着けながら、徒歩で手術ルームへ。
めちゃくちゃ近未来的な空間が広がっていてビビる。
キューブッリク的世界観がまさに再現されていた。

そのまま手術台にのぼりオペスタート。
何か手術にチームがあるらしくて、助手の人がレンタル移籍でやってきたとかなんとか。
そういう業界事情みたいなのを知れると楽しい。

あと抜いたボルトいります?と言われたので、即答でモチと返答。
手術の映像が見れるか聞いたけど、そんなものはこのしょぼいオペに存在しないと一蹴。
そんな感じで談笑しながら、麻酔投入。
腰の辺りにぶっとい注射器をインサートするのだが、昔痛めた部分に凄い響いて、
「さすところ間違えてんじゃネーのか」という不安が止まらなくなる。

しばらくすると下半身にしびれが訪れる。
意識も何となくぼんやりとして来て心地よい。
先生が氷や尖ったもので痛覚をチェックしていき、完全に何も感じなくなったところで手術スタート。

それと同時にのれんみたいなタオルが掛けられ、下半身と上半身が区切られる。
産婦人科もののAVを想像してください。あんな感じのパーテーションです。
なのでコチラからは一切様子がうかがえなかった。
でも心拍数のモニタ音が聞こえたので、冷静になって心拍数を下げる遊びで暇をつぶす。

足下でガチャガチャしてたので、「もうはじまってます?」と聞くと、
既に切ってるとのこと。
全く感覚がない、さすが麻酔である。

手術は全く感覚がないし見えなかったので何をしているか良くわからなかった。
しかし、明らかにクランクのようなものでボルトを回していたのはビビった。
手術というより完全に機械をバラすような行程なのだ。
サイボーグ気分に浸る事が出来た。

しかし、ボルトはかなり骨と一体化しており抜けづらいらしく、なかなか力づくで抜いていたような気がする。
しかもそれが骨盤に響いてくるのだ。
それが心地悪く、かなりこちょばしくてニヤニヤが止まらなかった笑
女性がよく「子宮に響くわ〜」とかいってるけど、あの気持ちが少しわかった気がした。

そしてオペも最終行程にさしかかる。
それまで足に対して、横に刺さっていたネジのようなボルトを取り出していたが、
それによって固定されていた骨に対してまっすぐ突き刺さっていた長い棒を取り出す。
膝が曲げられ、それを上に引き抜く算段らしい。

力づくで引っ張っているようだがなかなか抜けない。
その振動が骨盤に響き気持ちが悪い。
しばらくすると先生が「アレ持って来て」と助手に伝える。
何が始まるのか期待していたら、いきなり「キーンキーン」と明らかに建設現場でしか聞き得ない音が聞こえて来た。
何とハンマーでボルトを殴り、無理矢理引っこ抜こうとしているのだ!
原始的というか、荒削りというかもう人間でも機械とあんまり変わらないのだなと思った。

なんとか大物を抜き終え、手術終了。
一時間ほどで終わったのだが、先生は次の手術を控えていたらしく、
「もうちょっとスピード重視したかった」というセリフを残し去っていった。

傷口を縫い、ベッドに寝たまま輸送。
ち○こに管を入れるらしく、ち○こを触られたのだが全く感触がない。
後で病室に戻ってからこっそりち○こを触ってみても一切感触がなかった。
体の感覚的にはあるのに、いざ触ると全くない。
これが幻覚という奴なのか?非常に不思議体験であった。

麻酔が掛かったままベッドで安静。
夕方ぐらいまで麻酔が抜けないらしく、非常に暇だった。
どんなに頑張って足を動かそうとしても全く動かないのはマジでビビる。
しびれの強化版の様な感覚がずっと続き、このまま動かなくなる恐怖も襲って来た。
それと下半身不随の人の気持ちが何となくわかった。
これはかなり辛い。
漫画「リアル」の「ベッドに寝たまま膝が立っているのに、それがわからず母親に『膝を立てろ』とキレるアイツ」のシーンが浮かんだ。
今なら共感できた。

そんな感じで一泊。
夜中に麻酔が切れ、激痛との戦いが始まる。
事故った時より痛いんじゃないかという鈍痛が足を襲う。
マジで死にかけたのでナースコールを呼び、痛み止めを投入。
しかもそれが座薬で看護婦さんに刺してもらうという情けない図だった。
ケツ丸出しで赤の他人に座薬をつめられるのはなかなかしんどい。

それと尿瓶でシッコするのも人間としての尊厳を失いそうになった。
アレは地味に精神をやられる。
看護婦さんからしたら仕事なので別に何ともないと思うのだが、
やられるこっちとしては情けなさで泣きそうになるのだ。
だからなるべくシッコは我慢した。
ナースコールで呼び出し「尿瓶お願いします」はかなり心にダメージを負う。

そして翌朝になるとすっかり激痛は冷めていた。
でもまだ歩けない感じの痛さはあるのでベッド上で安静必死。
点滴もあるので動けないのが地味にキツい。
尿瓶にシッコをするのもまだ慣れない。
足が不自由というのはかなり人間にとって行動が制限され、不自由な事なのだと改めて実感した。

更に一泊。
朝になると固定していた包帯やガーゼが取れ、やっと自由の身。
ガーゼが尋常じゃなく血まみれになっていた事に焦る。
そしてようやく風呂に入る事が出来、トイレも行けるようになり尿瓶からの卒業。
人間としての尊厳を勝ち取ったのだ。

退院できる状態らしんのだがどうせ暇だからという理由でもう一泊笑
最後の日は患者の関係で個室に移らしてもらい、健康で快適な入院ライフを送りました。
タダで個室行けてよかった。

コレで通算一年におよぶ、通院&入院生活が終わりました。
来週、抜糸すれば全て終了で自由の身。
あとは保険金がどのぐらい貰えるのか楽しみです