今回も深夜四時の突入であったが、全ての猫が起きていた。
こいつらいつ寝てるのか疑問が残る。
暗闇の侵入者に猫達はびびり、ちりぢりになっていく。
警戒する猫達と距離を置きながらの観察がこれまでは続いていたが、今回は秘密兵器を投入。
自分の周囲に粉末状のまたたびをまんべんなく振りかける。
そうしてしばらく待つと、その匂いを感じ取ったのか一匹の猫が警戒しながらも接近して来たのであった。
しばらく様子を見ているとぺろぺろとまたたびを舐め始めた。
そしてついに横になり、酔っぱらいのような状態になった。
さすが猫界の合法大麻である。
その効果はてきめんで、身体の力が抜け、完全にラリっていた。
それに連鎖するように周囲の猫たちも吸い寄せられていき、順当にラリっていく。
深夜のドラッグパーティーの始まりである。
十匹程度の野良猫達が自分を囲んで脱力をし始める様は爽快だった。
恐らく教祖様はこんな気分が毎日味わえるのだろう。
そりゃ宗教が流行る意味も分かる。
ベロンベロンになった猫達を観察しながら一人で爆笑していると、 通りに謎の車が通過した。
よく見ると警備会社の車で敷地内をパトロールしていたのだ。
ドラッグパーティーから一瞬で緊張が走る。
今バレたら絶対捕まると思ったので茂みの中に身を隠す。
この緊張感はヤバかった。
夜中の四時に茂みの中で隠れているところを見つかるなんて、イリーガル行為しか捉えられないからである。
しかも粉末状のまたたびもドラッグだと勘違いされるに決まっている。
「猫の世話をしてまして…」というのも言い訳にしか思えない。
でも本当に怖かったのは「野糞をしている」と勘違いされる事であった笑
ドラッグよりノグソだと勘違いされる方が恥ずかしい。
しかし上手く隠れることができてその場をやり過ごせた。
忍者の末裔ではないかと自分を疑ったものである。
恐怖でいっぱいになったのでその場を立ち去り、敷地からそそくさと退散する。
帰り道にそのセキュリティーカーと鉢合わせ、散歩している人を演じながらもめちゃくちゃ動揺したのはまた別のお話。