2013/09/11

埋立地の魅力

人工的に作られた埋立地。
東京湾には商業施設やゴミ処理場などがあり、足りない大地を補うかのように日々拡張を続けている。
しかし未だ発展途上であり、成熟には到達していない。

よく都市は生き物であると表現される事がある。
人々の欲望により無秩序に発展して行く様は無機物とはもはやとらえられないのである。
特に埋立地などはその最もであるといえる。
欲望を満たすために海を狭め、土地を拡張する。
便利最適化された現代社会に置いて、新天地は未開のものではなく、自分たちの目的にあわせ、創造するのがふさわしいのかもしれない。
まさに神に近づいて来ているような気もしない事は無い。

埋立地の発展途上な様が非常に心打たれる。
海に浮かぶという自然状態でありながら人工的なものというのが堪らない。
しかしそこは完全には都市化されておらず、不完全なまま、その時を待っているのだ。
空き土地が沢山ある地帯を見た時など、ある種都会のオアシス的な悠久の美しさがある。
エモーショナル。
エモという表現が似合うのだ。

回りに高層物件は無いし、山も無い、海に囲まれたその地域は視界一杯に青空が広がる。
都会でありながら閉塞感からの脱出というのがまた堪らない。
この世で独りな気分を味わえるし、ある種の終末感が漂う。
まさに近未来化が引き起こした、偽りの安寧と言えるかもしれない。
そのうち人間が廃れていくにつれ、そのような棄てられた土地は増えていくだろう。
いまはまだ全盛に向かって増え続けているので、発展途上の美しさがある。
しかし、いつしかその成長が終了したときには崩壊と遺棄の美しさに変容するだろう。