2015/07/09

ワンピースをほとんど知らない人が「ワンピース」の正体を予想するコラム

所謂ワンピース世代直撃の僕ですが、ワンピースはなぜか食わず嫌いしており、ワンピースを通らなかった少年時代を過ごしていました。
大人になった今更、数十巻近くを読み始める気力もなく、ドラゴンボールやハリーポッター、ロードオブザリングと一緒に「死ぬまで読まないリスト」に入ることでしょう。

まあワンピース世代ですのでテレビ・友人・ネットやウィキペディアなどで得られる最低限の情報は得ています。
ルフィ一味が海賊王、はたまた伝説の海賊、ゴールド・ロジャーが残した「ワンピース」という財宝を目指し、日夜奮闘する、といった最低限度の知識ですが。
また、実際友人宅にあったワンピースにチャレンジしたこともあり、不覚にもウソップ海賊団解散のシーンでウルッときてしまったため、そんな自分にムカつき、読むのを辞めたという少年期の「尖り」エピソードすら存在します。

まあ、性格があまのじゃくなので、読んだら絶対面白いということは理解できているのですが、今更感のせいでなかなか食指が伸びないというのが原因です。

ネットでワンピースの正体について結構議論が交わされるのを見るのは好きで、よく見たりするのですが、自分でも知識ないなりに考察するのが楽しくて、筆を走らせている次第です。

まず、ワンピースとは 「海賊王ゴール・D・ロジャーが遺したとされる、富と名声と力の『ひとつなぎの大秘宝』。『偉大なる航路』の終点・ラフテルにある可能性が高く、海賊なら間 違いなく、その宝を目指し、『偉大なる航路』に集まると言われている。白ひげはその正体を知っており、もしこれが見つかれば世界はひっくり返ると述べてい る。一部ではただの伝説とされていたが、実在することを白ひげが死に際に世界に公表した」


とウィキペディアには書かれています。
ネットの予想では、「財宝という名前の通り、物質的にお宝が眠っている説」や、ひねくれ者がまず考えそうな「 これまでの冒険が財宝だったんだよ!ドン!説」が蔓延っていますね。
とにかく、ここまでワンピースの物語のウリとして引っ張るってことは、何か作者的にも考えがあるのでしょう。
こっから僕も色々と予想を立ててみることにします。(マジでワンピースの詳細ストーリー知らないんで突っ込みどころ満載だろうと思いますが、そこはご愛嬌。ワンピみたいな話作るなら俺ならこうする!的妄言として、読み流してください)

①パソコンなどのその時代には存在しない機器
まあ、ファンタジーだと思ったら実はSFでしたーという古典的なオチですね。
未来人が紛れていて、そのテクノロジーを伝えたとか、遥か昔に滅んだ古代文明が現代文明以上のテクノロジーを持っていたとかですね。
そんで、ワンピースの海賊時代は我々の文明が滅んだ後の未来のお話で、彼らは未来人だったんだ!ドン!とかありえそうです。
ゴールドロジャーさんも未来人or古代先史文明とコンタクトがとれた選ばれし人間で、それさえ持っていれば、世界がひっくり返るという条件にも合致する気がします。
パソコンに限らず、核兵器であったり、エスパー的武器だったりと、時代のオーバーテクノロジーであったらなんでもいいんです。

②人物
ワンピースさん(便宜上)がそこにはいるという説ですね。
ワンピースさんは何か特別な能力を持っていたり、とにかく出会うと凄いことが起こるのでしょう。
ゴールドロジャーさんが残したとウィキにはあるので、ゴールドロジャーさんの子孫だったりするかもしれません。
「ハイパー凄い大海賊の俺の子供なんだから、『ひとつなぎの大秘宝』と言っても過言じゃない!ドン!」オチすらも考えられます。
はたまた、未来人や古代人、さらには宇宙人の可能性すらあります。
SF的可能性を追い求めるとなんでもありなのできりがありません。

③言語・知識・宗教
世界をひとつなぎという点だけに着目すると、言語であったり、宗教などの「価値観を統一するもの」がワンピースである可能性もあります。
実際ワンピースは皆んな日本語で会話し、世界政府という言葉すらもあるので、言語的には全世界統一されている可能性が高いのですが、何か新しい価値観としての言語の可能性もあります。
それこそ、オーバーテクノロジーを持った古代人や未来人、宇宙人とのコンタクトに必要とする言語である可能性もあるので、いい線ついてるんじゃないんでしょうか。

知識というのは曖昧ですが、宗教に内包されるような感じで、みんな同じような価値観持とうぜ!的なノウハウが記されていると予想します。
世界をひとつなぎとは額面通り受け取れば、みんな同じ神様信仰してハッピーになろうぜ!的ニュアンスであり、ワンピースとは世界宗教を作り出すカルトな物語であったんですね。
んで、この物語自体が、聖典としてのちの時代に読み継がれるとすれば完璧でしょう。
天下のジャンプでそんな嫌なオチにしないと思いますが。

④たどり着いた肉体に得られる能力
前述した通りワンピースの詳細はほとんど把握していないのですが、ゴムゴムの実とかの能力バトルということはなんとなく把握しております。
ワンピースにたどり着くことができる身体能力というのは、もうそれは、一般人には成し遂げれない強靭なものでしょう。
その肉体or肉体に宿る能力こそが「ワンピース」とする予想です。
「経験こそがワンピースだった」というものにやや似ている感じはありますが、その肉体に宿った「血」を啜ると、驚異的な能力者として覚醒するなどといった、ややオカルトチックなオチもあり得るでしょう。
あと、「ワンピースの実」というものがあり、それを食べると世界がヒックリ変えるような凄い力が宿るという予想もありますが、これは小学生レベルの発想ですかね。

はい。
ざっとこんなもんでしょう。
無知ゆえの矛盾点はたくさんあると思いますが、人が物語を作るときに「最終的なお宝」とするものって、だいたいこんぐらいのパターンが考えられますよっていう考察みたいなもんです。
それもガッカリさせるかは置いといて、読者をいかに裏切れるかというものを挙げるとここら辺が妥当なんじゃないかなあと思います。

まあ、財宝などの物質的価値を持ち、かつ世界を豹変させるような能力的価値を持つものが一番いいんじゃないかとも思いますね。
そこはストーリー中に伏線を張ることで、効果的に演出できると思います。
取り敢えず、全く読まないなりにもワンピース最終回が楽しみな人はいるんですという報告でした。

2015/06/08

圧力鍋で家二郎

急激に二郎を作りたくなったので家で作ってみました。
ネットで色々と家二郎情報をググっていくと、圧力鍋を使うとすごいすぐできるという情報を手に入れたので、今回はそれでチャレンジ。

材料(5人前)
・ゲンコツ 1kg
・背脂 500g
・大勝軒のつけ麺 2袋(スーパーで売ってるやつ。一袋三玉)
・豚ブロック肉 800g(豚でカタマリならなんでもいい)
・濃口醤油 300ml
・みりん 100ml(みりん風の方がネイティブ二郎感出るそうです)
・料理酒 50ml
・ニンニク
・味の素(これ必須!)
・モヤシ 一袋
・キャベツ 半個(野菜は少なめなので、マシマシしたい人はもう少しあってもいいかも)

家二郎で重要なのがゲンコツと背脂。
これを我々一般人が入手するのはかなり難しい。
専門店に行けば普通に売ってたり、交渉で打ってもらえるそうですが、今回はネットで購入。
ズボネ げんこつ 1kg
豚背脂 500gラード 業務用   
 ↑こちらのお店で購入しました。
送料も含めたり、現地価格と比べるとかなり割高な印象はありますが、今回は気にしない。
とにかくここの店がいいのは、ゲンコツが最初から半分にカットされてるんですよね。
ゲンコツは骨の内部にある髄液こそが上質なスープの素となると言われているので、ゲンコツ買ったらどうしても、下処理後にハンマーでぶっ叩くという手間が生じます。
しかし、最初から半分に切られた状態でくるので、その手間が省けます。
ゲンコツも背脂も冷凍パックで送られてくるので、保存もきき、大量購入すれば送料も無料っぽいので、そうすればコスパはいいかもしれません。

下処理
まずゲンコツの下処理を行わなければなりません。
これを怠ると食べるに値しないクッサイ豚骨スープが出来上がってしまいます。
まず、冷凍されているので解凍も兼ねて、水に浸しておきましょう。
そうすれば、骨についた血がどくどくとでてきます。

それが終わったら、鍋に水を張り、ゲンコツをブッコム。
沸騰してくると、血のアクのようなグロい泡がめちゃくちゃ出てくるのでそれを掬っていきましょう。
20~30分ぐらいそれを続けると何も出てこなくなるので、鍋ごと流しにドバーっと捨てます。
ここでのスープは使いません。

そしたら、骨の周りについた余分な肉や血の塊をそぎ落としていきましょう。
なかなか手ごわいので、ナイフで切り取ったりしてから、たわしでゴシゴシと。
「犬が齧ってそうな綺麗な骨」に見えてきたら下処理完了です。

あと、背脂が凍っていたら、この間に湯煎しておいて解凍しときましょう。
そして、二郎にとってもう一つ大切な要素である、豚の準備も行います。
ブロック肉を適当にタコ糸かネットで縛り上げて下さい。これをしとかないと、肉がボロボロになります。

煮込む
こっからやっと本番で、いよいよ秘密兵器・圧力鍋の投入です。
僕の持っているやつは5Lなんですが、もっとでかくてもいいかもしれません。
ただ、五人分程度だと十分だと思います。

圧力鍋に下処理したゲンコツ1kg、背脂500g、豚ブロックを投入。
そのあと、水を指定ラインまで注ぎ、ヒタヒタにします。
お好みで臭い消しのニンニクやショウガ、玉ねぎ、ネギなどを投入してもいいかもしれません。
今回はニンニク、玉ねぎ、ショウガを投入しました。
しかし、ショウガの量が多かったらしく、少しジンジャーの香りが漂うこととなったので、入れすぎには注意。
ニンニクは消滅し、玉ねぎはとろとろに仕上がりました。

それらを入れたら、圧力鍋を点火。
圧力30分、放置30分がちょうどいいらしいです。
ちなみにこれはまだ一回目の煮込みです。
数回に分けて煮込むのは、一旦、豚を取り出す必要があるからなのです。

カエシ・豚作り
その間にカエシを作っておきましょう。
小鍋に濃口醤油300mlにみりん100ml、料理酒50ml、切ったニンニク、若干の味の素を加え、弱火で沸騰しない程度に煮立たせていきます。
まあ、この時点で味見してみても「死ぬほど濃ゆい醤油」という印象しかわかないので、心配する必要はないです。

 減圧完了したら、豚だけ取り出し、ボウルに移したカエシに漬け込みます。
大きいので、片面15分づつ、計30分程度漬け込むとなかなかいい味がつきます。
それが終われば、好みの大きさにスライスしましょう。
(写真をほとんど撮ってないので、以下も文章中心の解説となります)

さらに煮込む 
 
とりあえず圧力をかけずに煮込み続けていきましょう。
背脂がプルプルな状態で浮かんでいるので、とりあえずおたまでガシガシと潰していきます。
アブラ感があんまり好きじゃない人はここで一旦、背脂だけ移して、完成時にトッピング的に使ってもいいかもしれません。

沸騰させ続けていくと水の量がだんだんと減っていくので、追加しましょう。
そんなに薄まるとかは心配しなくてもいいです。
水を追加させながら乳化を促し、煮込むこと、二時間で一旦終了。
実は食べる前日の夜から作業スタートさせているので、二日がかりで計画してます。
(正直、煮詰めていくより、あと一時間加圧して、一時間放置でもいいかもしれません)

最後の煮込み
二日目の朝から煮込み再開。
ドロドロ感を出したかったので、加圧させることなく煮詰めていくことに。
もちろん水も入れません。
この辺はお好みなので、スープの量とかの兼ね合いで変化させましょう。
僕の場合は煮詰め過ぎて、高濃度ですが、若干スープの量が足りなくなりました笑
ここでは一時間程度、煮込みます。

煮込み時間をまとめると、圧力初回1時間(加圧30分、放置30分)+そのあと煮込み二時間+翌朝煮込み一時間の計4時間程度ですかね。
ただし、二回目以降の煮込みも圧力利用すれば、トータル2時間程度に短縮できるでしょう。

仕上げ
スープが完成したら、キャベツとモヤシを茹でましょう。
沸騰したお湯にそれらをぶっこみ、いい感じになったら引き上げて湯切り。
ここらへんはアバウトで大丈夫です。

そのあとは、ラーメンの器をあっためましょう。
器をあっためるかあっためないかでかなり美味しさが変わってきます。
素人ラーメンの盲点はここなのです。

それと同時に麺を茹でる。
大勝軒のつけ麺の生麺が一番二郎麺に近いといわれています。
スーパーで簡単に手に入るので、おすすめです。
自作するのもいいけど、やっぱ手軽さを追求するのも家二郎の醍醐味であります。

あったかくなった器にカエシをおたま三分の二ぐらい注ぎ、それと同時に味の素大量投入。
カエシとスープの割合はよくわからないので、とりあえず少なめに注ぎました。
もし足りなかったら、あとから追加すればいいんです。

そして、スープをカエシに割ります。
この時、背脂が大量なのが嫌な人は、 ザルで漉しましょう。
いわゆる背脂チャッチャってやつです。
ザルに残った背脂はあとからアブラ増し用に使ってもいいでしょう。

そしたら、麺をブッコミ、それから、ヤサイ、ニンニク、アブラ、豚、カエシをお好みでトッピング。
我が家はネギ中毒者しか存在しないため、ネギトッピングは欠かせません。
これで完成です。
前述したように、スープを煮詰め過ぎたため、若干少なめとなっていますが、味はその分、濃厚!(写真撮り忘れて結構食べてから撮ったのでさらに少なめです)
野菜が少ないですが、僕はこれぐらいで十分なんです。
ラーメン屋は謎の緊張感のせいで野菜増しでも、なぜか食いきれてしまいますが、気の緩む家ならこのぐらいの量で晩御飯までお腹いっぱいになります。
まさにラーメン屋マジック。

味としては、本家二郎の亜流といった感じで、少し攻撃性にかけるマイルドなものとなりました。
おそらく、醤油の違いがあると思いますが、それでも十分な再現性であると言えましょう。
というか、家でこのクオリティ出せるのに感動します。
それと同時に、ラーメン屋は毎日こんな仕込みをしてるんだなーとしみじみすること間違いなしです。

圧力鍋を使えば、最短2時間程度で二郎が作れちゃいます。
かき混ぜたり火の番をすることなく、ほとんど待ち時間なので、家で暇してる休日なんかおすすめですね。

 
イアンマッケイに二郎出したらぶん殴られるでしょう

2015/05/27

職業勇者概要。

現在、http://ncode.syosetu.com/n5279cr/にて、「職業勇者概要。」という架空の新書っぽいものを書いています。

RPGとかに存在する勇者が職業制度として確立されて100年が経過し、その制度の現状を雑学交えながら「ヒノキスギ・カフン大学名誉教授のコムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ」さんが執筆するという作りになっています。
自分自身設定厨なところがあり、物語を作るうえで一番楽しいのはストーリーよりも設定を固めるところであります。それゆえに設定作りに凝りすぎてしまい、全く筆が進まないという魔のループに陥ることが多いのです。

なので、逆に開きなおって、設定資料集的に物語排除でつらつらと設定のみを書き続けるということをやってみました。
この形式だとマジで筆が進むので、人生初の完結まで執筆が可能になるかもしれないと現状では期待を寄せています。

攻略本や設定資料集を読み込むのが好きな人は結構楽しめると思うので、興味があれば是非読んでみてください。また、上の図にあるようにこの本は岩波新書ならぬ岩海苔新書から出版されたということで、表紙までつくってしまいました。
内容作らずに外側ばっかつくるところが設定厨の鑑といったところです。
岩波リスペクトで表紙のランプの絵がヤカンになっていたり、表紙の色使いは全く同じとなっております。

2015/05/07

没・家族ネタ

アルコ&ピースのオールナイトニッポンに「家族」というサイコなコーナーがあります。
おそらく現在継続中の深夜ラジオで一番レベルの高いコーナーだと感じています。
ノールールかつ長文OKというアメリカの試験のような自由度を誇り、各個人の脳内の「面白い」や「思考の断片」がバシバシ感じ取れるこのコーナーはおそらく、ANN史に残る伝説のサイココーナーとして名を残すことでしょう。

アルピー二人のリスナーへの人格否定、未知へのものの恐怖などがサイコさを引き立てる要因であり、「リスナー=やばい奴」という認識があるのが今までのラジオではあまりなかったんじゃないかと思いますね。
媚びることなく、「頭おかしい」と言われちゃったら、そりゃもっと頭おかしいことするよってことで、このような混沌が生まれたのだと考察できます。

またひとネタがはまったリスナーによるネタのシリーズ化というのはラジオにはありがちで、この番組でも起こるんですが、程よいところで浄化作用が働くのもいいところでしょう。
他のリスナーがそのネタに追随せず、独自ルートを突っ走る傾向があるのもいい風潮ですね。

今日はそんなサイココーナー「家族」に送った僕の没ネタを晒してみたいと思います。
もうこれは葬式です。
生前、面白かったとかそうでなかったとかはどうでもいいんです。
ひとネタ書くだけでこんだけ困るのに、高水準のものを毎週送ってくる職人はリスペクト必須です。

お父ちゃん、お兄ちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ。
「おい!お前、授業中だぞ!そこで何やってるんだ!
こら!逃げるんじゃない!おい!
…やっと堪忍したようだな。
お前、そんなんでいいのかよ?高校卒業できないぞ?
わざわざ学校まで律儀に来るくせに、屋上で授業だけはサボるなんてなあ。
もったいないよ、まったく。
…でもな、その気持ちわかるよ。
俺も昔はこうだったもん。何かに反発したくなる時期ってあるよ。
人生どうにでもなれと思って、バカなことしちゃうんだよなあ。
…ほら、隠したもの出せ。
影でこそこそやっててもばれてるからな?」

そう言うと関羽は堪忍したかのように隠していた青龍偃月刀を取り出す。
3メートルはありそうなその青龍偃月刀を関羽は申し訳なさそうにうつむきなが
ら差し出す。

「せ…青龍偃月刀!?
ほら、屋上で隠れてやるものつったらタバコか酒ぐらいなもんじゃないのか?
ゴリゴリのワルでもシンナーだろ!?
それか、ナイフとかそっち系だとしても出刃包丁でマックスじゃないのかよ!
青龍偃月刀なんて刃物カースト最上級だぞ!
しかも、重すぎる!
パッと持った感じ、重さは八十二斤はあるんじゃないか!?
八十二斤つったらあれだぞ、ベビーカー4台分じゃないか!
お前こんなもの持って毎日通学してるのか?」

関羽はこくりと何も言わずに頷く。
2メートルはありそうな背丈に、丈夫な体つき。
スポーツをやらすには十分な体つきだった。
彼に足りないものはハート、何かに打ち込む闘志だけだ。

「…お前、プログラミングに興味あるか?
お前ぐらいのポテンシャルだったらすぐに3国統一できると俺は思うんだ。
その有り余る力を青龍偃月刀なんかに使わずに、プログラミングに活かして見た
らどうだ?
このまま、隠れてこそこそ青龍偃月刀を振りかざすだけの人生なんて面白くないぞ?
どうだ?その青龍偃月刀をキーボードに持ち替えて、やってみないか、関羽?」

自らの青龍偃月刀を否定された関羽は何も言わず劉備のクソ先公の野郎から青龍
偃月刀を奪い返し、その美しい太刀を振るった。
びゅん、と風を切る音が聞こえる。その刹那、劉備のクソ先公の野郎は倒れこんだ。
「…うぅ」
劉備のクソ先公の野郎はうずくまる。
関羽は無駄な殺生はしない、峰打で済ましていたのだ。

「もうこんな季節か…」

関羽はそう呟くと、青龍偃月刀を担いだままクラスに戻り、サボっていた歴史の
授業を受けた。
突如入ってきた関羽に3年蜀組の生徒は動揺を隠せない。
しかし、筋金入りの青龍偃月刀使いの彼の前には生徒はおろか、教師ですら注意
できないのであった。
張り詰めた緊張感が教室に漂う中、何事もなかったかのように授業は進む。

「…じゃあ、1192年とある人物が鎌倉に幕府を開きました。わかる人、いるかな?」
歴史担当の張飛先生が恐る恐る生徒に投げかける。
生徒たちは当然、関羽にビビり、ノーリアクション。
そんな中、静寂を切り裂くようにぴん、と青龍偃月刀を振り上げる関羽。

「じゃあ、関羽くん。おねがいします」
張飛先生は緊張した面持ちでそう言った。

「…わかりません!」

張り詰めた空気が一瞬漂うが、次の瞬間、一人が吹き出す。
そしてまた一人、また一人と吹き出していき、笑いの連鎖は教室中を支配した。
「わからんて!関羽、おま!」
「そりゃそうだぜ、鎌倉幕府っつったら、千年後だべ。千年近く未来の話なんて
わかるはずねーべ!」
「関羽くんには参ったわね、まったく。でも、そんな抜けてるとこが好きかも」
先ほどの緊張感とはうって変わって、笑いが絶えない教室となった。

やっと溶け込めた。
関羽はそう思うと、青龍偃月刀を窓から投げ捨てた。

この話を聞いたスティーブジョブズはすぐさまマッキントッシュ製作に取り掛
かったという逸話もあるが、またそれは別のお話である。