2014/05/23

the band apart BONGO e.p.

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00JDSYB5U/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00JDSYB5U&linkCode=as2&tag=tapo1127-22

バンアパシングル出ました。
一つ前のシングル、tokumaru e.p.から八ヶ月という今までだとあり得ないペースでの発表。
作詞作曲分業体制やその前のシングルからの日本語化が色々バンド内に変化をもたらしてるんでしょうか。
ちょっと調べるとアジゴシも体制が変わったみたいで自分たちの意志でゴーサインが出せるみたいなことも言ってます。

今回のシングルはプロモーションに力を入れていたので、いろいろと制作秘話みたいのが聴けて満足ですね。
特にバンアパの場合、誰が作った曲とか、元ネタとかを掘り下げるのが楽しいので、こういうメンバーの考えが発信される場が多く設けられるのはリスナーとして嬉しい限りです。

また、BONGO e.p.というシングルタイトルは全ての楽曲に打楽器のコンガが使用されている事に由来しており、最初はコンガイーピーだったけどボンゴの方がださいから、という理由で採用されたというバンアパらしさ笑
ゴルフ感であったり、ダサさを絶妙なセンスでシャレオツに昇華してるのが上手いですよね。(確かにダサイという先入観を持つと、ダサく感じることもある笑)

それで、今回も先述した通り日本詩、分業体制らしいんですが、今回は完全分業に飽きたらしく、少しづつ皆のアイディアを反映させて行こうという流れになったらしいです。
元ネタを持っていって後は皆で作るみたいな感じ。
次からは合宿とかして、皆で作りたいとの事。

確かレコグナイズイーピーは合宿して作ったんでしたっけ?
寝る前の人生ゲームが合宿中唯一の楽しみだったってのをどっかの記事で見た気がします。

それでは全曲の感想を。

M-1 誰も知らないカーニバル
PVにもなっており、一応リードトラックに値するんでしょうか。
今回の四曲で言えば一番「現在のバンアパ」を表している曲だと思います。
担当は原さんで、随所にこだわりの見えるいい感じのナンバーです。
聞き込む程味が出てきそうな曲ですね。

メインのリフがいいよね。
バンアパって歌の無い状態を完璧に仕上げることが多いらしいです。
だからインストでも聴けちゃうクオリティに持って行けるんだよね。 
あとサビのかすかに聞こえる高音コーラスがいい味だしてます。

特に日本語になってから歌詞の意味がダイレクトになっていて、原さんのセンスを直で感じられて好きですね。
「漢気で飯は食えない」ってのが凄いグッと来た。
それまでも原曲(はらきょく)だと自信の父親に対して歌詞を描いてると言ってたんですが、今回もそれに近いような感じなんでしょうかね。

あと原さんの楽曲制作に対する価値観として、「自分が金を出してこの曲を買うか」というものがあってそれが凄い好き。

pvはスーツでびしっと決めており、曰く「結婚式の二次会をイメージした」との事。
あと最初のテロップが「the band aprt」っていうミスり加減笑
ちなみにpv監督は同時発売の映像作品「510×283」を担当している方で、川崎の後輩で某ジェイ○ムの契約社員らしいです笑

さらにこれはマジでどうでもいいと思うんですが、今回のDVDに自分が若干映ってました。
BIGCATのライブで川崎が珍しくMCをするっていうVTRがあるんだけど、その登場前に、スマホ掲げて写真撮ってる不届き者が僕ね笑

演奏中じゃないから大丈夫だろうとビビり散らしながら記念に激写。

正直、ライブハウスの撮影がアウトとかグレーとかはっきり分かってなかった自分としては、川崎が出て来て「録音とか撮影が…」って言われた時は一瞬ビビり狂ったね笑
その前ぐらいに荒井さんのソロの違法録音とか出回ってたし、そういうのを把握したバンド側が直々に注意したのかと勝手に恐れ戦きましたよ。 
「自分の知らないところで同じように撮影とかしまくってる奴がいるんだ、やっべ!」みたいな笑
回りの人の目線を勝手に感じ、独り吊るし上げられているような嫌な汗をかいたのを覚えてます。

まあ結局は機材の不調で申し訳なくて謝罪したっていう、自分の心配とは全く関係ないオチなんですが、映像として記憶されていると、見るまで忘れてたこんな罪悪感に溢れた被害妄想的な思い出が鮮明に呼び起こされるって訳ですよ笑
いい思い出ですね。 
しかしあの日のライブでそんな機材トラブルがあったなんて全く気付かなかったなー。

M-2 The Base
疾走感溢れるロックナンバーとでも形容しましょうか。
川崎曲であり、リードギター川崎節全開のストレートな曲でありますね。
元々、今回のシングルはbpm120程度で四曲つなげようと言うコンセプトがあったらしいですが、この曲だけbpm180という爆速加減で破綻したらしいです。

あまりバンアパっぽくないラインの曲だと感じますね。
すげー早いし笑
まあ、本人達も「自分たちが作れば何でもバンアパらしさは出るから、らしさを無理にこだわっているところはない」とか「楽曲制作は卒アルとか記念撮影みたいなもので、その時の自分たちの記録」と言ってます。
この考え方凄い好き。

でもc.a.hとかbindとかblackといい、川崎マインドみたいのが一貫して感じられるのはいいよね。
サビで一気に転調して少しハッとするような展開が好きです。
歌詞もご近所トラブルを表現しているらしく、川崎家の隣のババアが頭おかしく、色々こまっているのをあらわしてるそうです。
あとコレもPVになってるんだけど、凄い90年代のバンド集がする映像だと思う。
カラオケでPV付きの曲で後ろに流れてそうな映像イメージが浮かびます。

M-3 来世BOX
コレは小暮さん担当のノスタルジー溢れる曲。
歌詞と曲調のマッチングが素晴らしい。
昔仲良かったけど最近会わなくなってしまった人々や自身の祖母との思い出を歌ったエモい感じの曲です。
本人曰く、「藤子不二雄感がある」とのこと。

全体のコード感とか間奏のギターの謎エフェクトが堪りません。 
間奏のピョコピョコ鳴ってる部分のエセ南国リゾート感たるや!

個人的には子供の頃見ていたアニメのエンディングとか、暑い夏の日の夕方に散歩ってイメージが浮かんできました。
今回のシングルで初聴では一番心掴まれてますね。
寂し懐かしい気分になって泣きそうになるんですよ。
夏休み感が凄いある。

あと歌詞の(ソース入れた)ってのがツボ。
歌詞カードに丁寧に括弧までつけられてポツンと(ソース入れた)という字面が面白過ぎる。
こういう遊び心(?)が堪りません。

M-4 環状の赤
最後は荒井さん担当の曲。
イントロの荒くれ者フレーズから一転してAメロはアメリカっぽいパート、Bメロはゴルフ感、そして泣けるサビへとつながるんですが、不思議とまとまりがある!
ライさんは日本詩になってからメロディーメーカーとしての才能を遺憾なく発揮して来ている印象がありますね。

サビのメロディが堪りません。
誰が聴いても気持ち良さを感じるセンス溢れるメロディで、おばあさんに聴かしても好評価を得られそうな普遍性があるよね笑

それとBメロの川崎のギターフレーズのゴルフ感が凄まじい。
ゴルフ場と爽快な青空を浮かべずには居られません。(海辺が近そうなところね笑)

歌詞に関して言えば、元々別の歌詞があり、北斗の拳っぽい熱さがあったらしいので急遽書き換えがされたようです。
それと、ライさんの歌詞って「テールライト」とか「ネオン」とか街感があるよなーなんて思ったり。

今回のシングルも個人的には満足で、何十年後にも聴けそうなセンスが堪りません。

僕の中ではバンアパって今、三期目ぐらいの感覚なんですよ。
1stから4thアルバムまでが同じ方向性の第一期なんですね。
クリーントーンを多用するオシャレなバンドって印象で、メロコアから始まり、ジャズ、フュージョン、ファンクを中心に取り入れたセンスのバンドというイメージ。

それで5thアルバムから一皮むけたなーって印象でそこからが第二期。
分業体制もココから始まり、いろいろと環境も変化したんでしょうね。
個人的には楽曲に色がついて来たというか、似たり寄ったり感がなくなって(別に第一期が似たり寄ったりって訳ではなくて、よりクリアに色がついて来たイメージ)、遊びの部分が増えたかなという印象なんです。
それから日本語シングル、6thアルバム、徳丸epまでが第二期。

それでこのシングルから第三期に移行しつつあるなーという印象。
だから2.5期ぐらいのイメージです。
大人っぽさというか、若さ故の尖り加減みたいのがなくなって、肩の力抜いて作ってる感覚ですね。(それでもレコーディングは毎回地獄という笑)

こうやって長い間、新たな発想に基づく楽曲を作ってくれてるのは素晴らしい事です。
基本的にバンドって長く続くと、どっかでガッカリアルバムとかいわゆる「枯れた」感みたいのを感じる事があり、少し切なくなっちゃうんですが、バンアパに限っては無い!
あと同時発売のDVDで荒井さんも「聴いてる人の青春に食い込めるような音楽をやっていきたい」と述べてましたが、確実に僕の青春に食い込んでます!!

2014/04/16

関西弁

僕は関西人では無いがバリバリの関西に住んでいる。
関わる人間は皆関西弁であり、いかにも「ナニワ」な空間が繰り広げられる。
かといって僕自身関西弁になるわけでもない。

僕の生まれはクソ田舎で、それこそ方言がややキツい。
僕自身方言が強い訳ではないが、やっぱりそこには若干のアイデンティティめいたものがあるわけで、癖の強い関西弁になってたまるか!という思いがあるのだ。

実際に地元を同じくして関西に渡った知り合いが、夏休みなどに帰省して出会うと、バリバリの関西弁になってて、ださいと思ったのもある。
二十年近くその土地で育ったくせにたった半年間、別の土地に行くとその言葉が移るとは何事なのだろうか。
明らかに意識してないと関西弁にならないとこちらは実感しているし、完全に見下す対象に感じたので、僕は絶対に関西弁にならないと決めたのだ。

でもたまに関西弁になってしまう事がある。
関西弁というのは一定のシチュエーションでは便利な言葉なのだ。
例えば、物事を頼むとき。
「一緒にどっかいこうよ」と通常では言う。
でも僕は人を誘ったりするのが苦手な人間であるため、このセリフはなかなか言いづらい。
しかし、「一緒にどかいかん?」だとどうだろうか。
是非、人が誘えないと実感している人間共はこのセリフを口に出してほしい。
明らかに言いやすいのだ。
僕なんか、「どっかいこうよ」というセリフを吐くのすら恥ずかしいのでわざとらしく敬語になってしまうというクソメンまっただ中なのだが、
関西弁を駆使するとかなり言いやすくなるのだ。
これでかなり得してる部分はあると思う。

このように関西弁はコミニュケーションを円滑にする言語であると感じる。
ある程度、気を使わないですむ言葉というか、人の内面に入りやすい言語だと考えている。
ステレオタイプな関西人というのは言葉に寄って形成されたのも納得できる。
あの嫌にフランクな感じは全て、言葉が内包するフランクさに影響されたものなのだろう。
だから関西人のコミュ障や人見知りは、全国的なものに比べるとまだまだフランクな可能性が高い。
どんな奴であっても関西弁というツールを使用すれば、ある程度、コミュニケーションにおいては補正が掛かると感じている。

そして関西弁というのは発言の面白さを協調するツールであると感じる。
例えば突っ込みにその傾向が顕著に現れてると感じる。
「何でやねん!」というセリフとともに切れ味鋭くボケにツッコム。
テレビでもよく見かける光景で視聴者の気持ちを代弁してくれて気持ちのいいものだ。
お笑いにおいては突っ込みが笑いを生む重要な作用を持つと感じている。
同じボケでもツッコミが違えばその面白さは何倍にも膨らますことができるのだ。

だからおなじ「何でなんですか」という意味を表すツッコミでも、
「なんでやねん」と「なんでだよ」は印象が違ってくるのだ。
最近では関東のツッコミも台頭してきて、もはや東西でツッコミのスキルは無く、あとは個人に任されるものとなっているが、やっぱり、少し前までは文化の中にツッコミが形成されていた関西がやや有利であった。
やはりそこには関西弁の持つフランクで親しみやすさがツッコミというものに上手く作用していたのだ。
だから、同じ言葉でも関西弁のほうがポジティブに作用されやすい。
よってダウンタウンなど明石家さんまは面白いのだ。(彼らの持つ根源的なおもしろさに関西弁が作用し、更に面白くなっているという意味。)

関西弁というのは言葉の持つ力を増長させるのに上手く作用するのだが、それはマイナス面にも痛烈に作用する事となる。
これは僕の関西圏で生活した事に寄る実感なのだが、関西人でつまらない奴は死ぬ程つまらない。
ただでさえつまらない発言に関西弁が乗っかる事により、その哀愁やクソさみたいのはさらに増長するのである。

だから、つまらない関西人ほどかわいそうになってくるものはない。
関西というのはお笑いの文化が台頭しており、基本的にノリもよく、面白い人間が多いと考えられている。
そして関西弁を用いるものは少なからず、標準語に比べるとユーモアがあるという勝手な先入観があるのだ。
しかし、つまらない関西人というのは「自分がつまらない」という自覚がない。
面白いとかってに思い込み、面白さを増長する関西弁というツールを巧みに操る様は非常に哀愁を誘うのだ。

ハリボテ感みたいのが凄まじいところに哀愁を感じてしまう。
関西弁は面白さを増長するツールであり、その言葉自体に面白さはない。
なのに関西弁を巧みに使いこなす彼らは、ふくらし粉のみで全く味がない。
そこに悲しさを感じてしまう。

それに関連すると標準語で面白いフレーズや発想というのは根源的に面白いのだ。
これは僕が勝手に思っていることなので参考程度に思っておいてほしい。
ただ、関西弁は言葉の持つ意味合いをさらに補強する作用がある。
頼み事であったり、怒るときであったり、ツッコミであったり、そういう場面ではかなり+に作用する。
しかし、おもしろ事を言う際には、ムラっ気があるというか、それぞれの方向に強く振り切ってしまうので注意が必要なんやねん。
自分、理解でけたか?(これがやりたくて長々書いてただけ笑)

2014/03/27

選別

中学三年生の春休み、卒業式も終わり高校の入学に向けて休みを謳歌していた。
有志によってクラス会をやろうという流れになり、クラスほぼ全員で近所の飯やに行く事になった。
普段見る事ができない私服の女子に卒業後だということもあり開放的な雰囲気。
なかなか楽しい催し物だったことを覚えている。

何故か晩では無く、昼飯を食べる集まりだった。
そのため一次会でみんなでご飯を食べたら、あとは解散。
それぞれちりぢりになり、街へ繰り出すものや、付きあい程度に参加し、あまり楽しくなさそうな奴らは気の合う友人達とどっかへ消えて行った。

しかし、男子の半分ぐらいは「このあとどうする?」と言った感じで残っていた。
中学生男子特有の無計画性と言おうか。
みんな変にテンションが上がり、気持ちが悪かった事を覚えている。

実は僕は友人二人と共にクラスの女の子三名にお誘いを受けていて、このあと少人数で遊ぼう!という流れになっていたのだ。
あまりそういうイベントが無かったので個人的には一次会よりそっちがメインだった。

しかし無計画にくだをまく男子達にその事を切り出すのは少し申し訳なかった。
どっかに消えて行った連中みたいにそそくさと退散したかったが、みんなに捕まり、「お前この後どうするよ?」なんて事を言われた。
皆の前で「○○さんたちと遊びに行く」なんて悪くて言えなかった。
そういうことを秘密にしておくのがカッコイイという謎の価値観も乗っかっていた笑

とりあえずこの後遊ぶメンツ三人でチャリに乗る。
みんな気まずそうにコソコソと「どうやって皆をまくか」について目で会話していた。
チャリで移動すると皆がついて来た。
総勢十名ぐらいでぞろぞろと移動する。
みんな僕らの予定も知らないで「××ん家行こうぜ!」などと無責任な事を述べる。
しかし僕らはそれに苦笑いするしか無かった。
今思うと「俺たちこれから○○さん達と遊びに行くんだ。ゴメン」と一言言えば済む事なのだが、何故かこの後の予定がバレたくなかった笑
皆を煙に巻き、人知れず立ち去りたかったのだ。そういうのがカッコいいのだ。

とりあえず感情を無にしながら駅の方面に向かう。
隣町のサティ(笑)まで電車で行くのだ。
そのために女子達とは駅で待ち合わせとなっている。
駅にたどり着くまでになんとか皆を巻かなければならない。

途中で友達と空気を読み合い、道を二手に分かれたり、どうでもいい道を突き進んだりした。
みんなには何となく空気を感じ取ってほしかったのだ。
「こいつらこれからなんかあるんだろな。俺らについて来てほしくないんだろうな」と。
しかし、そこは純粋無垢な男子中学生。
全くその行動の意図に気付くこともなく、駅に到着してしまう。

まだ女子は来ていなかった。
「お前らとなり街にいくのかよー」
「金もっと持ってくればよかった!」
などと一緒にこれから遊ぶつもりの男子軍団。
でも違うんだよ。僕らはこれから女の子とたちと遊びに行くんだ。君たちとはココでお別れなんだよ。
別に一緒について来てもいいかもしれないけど、向こうに悪いじゃない?ね?
なんとも嫌な当時の僕であろうか笑

まあ中学生ってのは不器用で純粋な生き物である。
「用事あるから」の一言が言えないのである。

そして女の子達がクルマで駅に到着する。
勝手についてきた男子達は「アレって○○さんじゃね?」などと興奮していた。
僕は今から彼女たちと遊ぶんだよ。
お前らはついて来ただけ、何も知らないって罪な事だと思った。

とりあえず僕と一緒に誘われていた二人は○○さん達のところへ向かう。
凄いテンションがあがりながらも後ろに居る彼らに対して凄い申し訳ない気持ちになった。
騙してゴメン。こんな事になるなら最初から言っとけば良かった。

そして合流を果たし、男女33で電車に乗る事に。
そのときにチラッと後ろの方を見た。
もしかして約束してると知らない彼らは僕たちが偶然出会ったと思っていて、自分もついて行けると思っているのではないかなどの嫌なイメージが浮かぶ。

しかし、振り向くと遠くの方で彼らは悲しい目をしながら自転車にまたがっていた。

全てを悟ったような顔をして、駅からはなれて行く。
なんだか申し訳なくなった。
罪悪感がはんぱない。
みんな一緒に来ようよ!なんて気の利いたことは嫌みに思われそうだから言えなかった。

あのときのついて来た皆の顔は忘れられない。
切なさに無力さ、俺らはピエロだったのかと言わんばかりの哀愁。
自分の言動を思い返し、空気を読め!と間接的に言われていたあの行動が意味をなす。
僕だってつらかった笑
でもそこは中学生で不器用だからしょうがない。

何か残酷な事をしてしまった思い出です。

2014/03/09

外人が語る笑点

日本のTVショウにはとても秀逸なものが多い。
その中でも今日はSYOU-TENを皆に紹介したい。

このプログラムはニホンテレビで毎週、日曜の五時半から放送している。
驚くべき事に今年で放送四十八年目らしいんだ。
毎回同じプログラムをコレだけこなすのはなかなかグレイトなことだ。

内容は至ってシンプル。
前半に若手コメディアンによるスタンダップショウが十五分、インターバルをはさんで、SYOU-TENメンバーによるO-GIRIが始まる。
このO-GIRIっていうのがメインプログラムで、毎週僕をあの手この手で笑わせてくるんだ。

まずはO-GIRIのルールを紹介しよう。
簡単に言うと色とりどりのカラフルなユカタ・ユニフォーム(キモノ?)を身にまとったメンバーが、ザブトン(こっちでいうケツの下に敷くクッションのようなもの)を奪い合うサバイバルゲームだ。
ザブトンがポイントを表し、十枚貯めるとそのシーズンのチャンピオンというヒスパニックにも分かるシンプルなルールがいいね。
ポイントを加算するごとにザブトンを重ねて、その上にメンバーは座るんだけど、不安定で見ているこっちがヒヤヒヤするんだ。
でもそこから落下するようなアクシデントは今まで一度もない。
やはり彼らはプロフェッショナルだ。

まずMCのミスターウタマルによって議題が上げられる。
メンバー達はその議題に対してジョークをかますんだ。
そのジョークがウタマルのツボに入ると、ポイントゲット。
しかし、逆にお気に召さない時は、ポイントダウン。
調子がいいときなんて、3ポイント一気に剥奪されたりなんかして、そのやり取りがまた面白いんだ。

ちなみにミスターウタマルは今にも死にそうな凄いジジイなんだけど、メンバー達もそれをネタにする。
こっちならちょっとどうかと思うキツいデスジョークの応酬がハラハラするんだよ。
もし本当に亡くなって、ネタに出来なくなったら泣いちゃうね。

ミスターウタマルも昔は、プレイヤーだったらしいんだけど、前のMCが亡くなって交代したんだって。
誰かが死ぬたびにメンバーが補充され、四十年以上続いて来たんだ。
まるで「ソウル・ウォーキング」(※1)だよ!

メンバーはブルー、ピンク、イエロー、ホワイト、パープル、オレンジの六人。
これにザブトンアシスタントのヤマダを加えたのがレギュラーメンバーだ。
ヤマダに関しては面白い話があるよ笑
彼はアシスタントだからメンバー達にはまるで奴隷のように扱われるんだけど、たまに反撃する事があるんだよね。
特にパープルがヤマダを扱き下ろすジョークをかますんだけど、すぐさま彼はそれに反応してパープルをマウントザブトンから突き落として、勝手にザブトンをもっていっちゃうんだ。
僕はあの逆襲の瞬間にとてつもなくカタルシスを感じるんだ。

ひとりづつメンバーを紹介しよう。

まずはブルー。ミスターウタマルから一番近い席に座るエロオヤジだ。
とにかく彼の特徴としては下ネタが多い。
まだ夕方なのにこんなこと言っても大丈夫なのかよ!ってレベルのものも沢山ある。
でも日本はそこらへんに寛容で、お客もそれを楽しんでいるような節があるんだよね。

そしてピンク。
彼はいまいちパッとしないナードって感じだね。
何考えているか分からないし、目が腐った魚のように濁っている。
これは僕の考えなんだけど、頭の中ではブルーよりえげつない下ネタジョークを考えているんではないかと思う笑
ちなみに日本の掲示板・2chの実況スレではこいつがカメラに写るたびに「PIN-TSUMA」(くたばれピンクの意) と書き込むことが最高にクールだとされているんだ。

お次はイエロー。
こいつは凄い幼稚なジジイだ。
いつもくだらないジョークばっかかまして、回りを失笑させている。
彼にも面白いエピソードがあるよ笑
あまりにもくだらなく幼稚なジョークだから、オチが言う前に回りのガイズにバレて、勝手にアンサーを言われちゃうんだよ!
さらに追い打ちで意地悪な事にミスターウタマルはザブトンを剥奪するんだ。
笑っちゃうんだけど、少し心が痛んじゃうよ。
でもプログラムのクオリティーを保つためには仕方ないことかもしれないね。

そしてホワイト。
こいつはメガネをかけたインテリでなかなかクールなジョークが多いね。
でもまだ若手だからよくオチを噛むんだよね。
それでザブトンをとられちゃうから実にもったいない。
まるで「サルゴンのアップルパイ」(※2)だね。

お次はパープル。
ちなみに僕は彼が一番のお気に入りだ。
とにかくエヴィルな切れ味鋭いジョークが持ち味で、いつもメンバーをメッタメタに扱き下ろすのがアメイジング。
かといってたまには政治を皮肉るようなジョークも飛び出し、インテリジェンスな一面も覗かせる。
比較的アメリカのコメディアンに近いものを感じるね。
彼はとにかく毒舌ジョークばっかかましてるから、すぐにザブトンを取られてしまうんだ。
ミスターウタマルに対するデスジョークは彼の専売特許だし、前述したアシスタントのヤマダとのやりとりも堪らない。
一度、ミスターウタマルの逆鱗に振れ、ザブトンを全て没収され、地面に座っていた時は腹を抱えて笑ったね!
しかもそれで釈明のチャンスなしでエンディングに入るんだ。
固いステージにセイザ(日本のシッティングスタイル。我々アメリカ人には辛い)してドゲザ・グリーディング(最上級の敬意を表す日本の挨拶)していたのは最高にアメイジングだったよ。

そしてオレンジ。
彼に関しては余りいい印象がないね。
元気があるんだけど、発言数も少ないし、ジョークのキレも悪い。
どうやら回りに遠慮しているような気がするね。
ホワイトとオレンジは比較的最近に入ったメンバーらしいから、今後の成長に期待したい。

これがSYOU-TENの概要だ。
アメリカにはないスタイルのTVショウで新鮮な体験をする事が出来る。
毎週続けて見ると、メンバーのパーソナリティやお約束のやり取りも分かって来て、さらに深く楽しめると思う。
是非とも一度見てほしいものだ。
それじゃあ、ジャパンカルチャータイムこの辺で。また来週。

※1「ソウル・ウォーキング」
アメリカの仏教系宗教「ハイファイカルマ教団」の教えの一つ。
魂は循環しながら人間という器を旅し質の高いものに仕上がるという、日本で言う輪廻転生に近い概念。
ちなみに筆者が今適当に考えた。

※2「サルゴンのアップルパイ」
アメリカで有名なジョークの一つ。
おっちょこちょいのサルゴンは最高のアップパイを作るが、いつも、お客まで無事に運べないという内容。
詰めが甘い人間に対して、ネガティブな意味合いを込めて使われる事が多い。
これも筆者が適当に考えた。